もみじが映えるのは、木の葉が一斉に、色鮮やかに紅葉するからではないでしょうか。

 ハゼノキは、”もみじ” や ”ナナカマド” と同様に、鮮明な赤色に色付く、秋を代表する樹木です。

 紅葉がきれいに色付くためには、一定の寒暖差が必要と言われており、温暖な地域では色鮮やかに紅葉することが難しいと言われています。

 しかし、ハゼノキは温暖な地域でも見事な赤色に色付くことで有名です。

 もみじについては ”紅葉の代名詞「もみじ」の特徴と魅力を紹介!” で詳しく説明してます。

 葉が色付く理由については ”紅葉はなぜ赤色なのか?もみじ狩りの由来と魅力を解説!” で紹介しております。ご興味がある方は是非ご覧ください。

ハゼノキの紅葉の魅力を紹介!

 ハゼノキの葉は小葉が集まり、羽状の葉を形作っています。

 時々そのうちの1、2枚だけが、秋になる前に真っ赤に紅葉することがあります。

 これも緑の中の紅一点で、非常にきれいです。

 しかし、ハゼノキはウルシ科なので、かぶれやすいです。(ウルシほど強くはない)

 ハゼノキの紅葉を見に行った際は、ぜひ気をつけて下さい。

ハゼノキの名前の由来と歴史を紹介!

 ハゼノキの紅葉の色埴輪(はにわ)に似ていることから、埴輪を作る土師(はにし)が訛り「ハゼノキ」と呼ばれるようになったそうです。

 また、ハゼノキは蝋作りの文化琉球王国から伝播したことに由来し、別名「リュウキュウハゼ」と呼ばれています。

 ハゼノキは元々は、中国や東南アジアに実生していた木で、江戸時代蝋(ろう)を作る目的で、日本に渡来してきたと言われています。

 日本に元々自生していたヤマハゼ近親種です。

 ナンキンハゼが、同じく蝋の採取を目的に中国から渡来してきたのも、この時期だそうです。

ハゼノキの木材としての価値を紹介!

 ハゼノキとヤマハゼの木材は混同して流通していることが多いです。

 また、雌雄異株で、オスの木メスの木があります。

 雌雄異株については ”植物に「性別」はあるのか!?そのメリットを解説!” で詳しく紹介してます。

 ハゼノキ材は比較的硬く軽いです。

 また、弾力性に優れているため、和弓などに用いられています。

ハゼノキの良質な「果実」と「木蝋」の関係とは!?

 ハゼノキは落葉樹で、果実は楕円形で光沢があります。

 果実の脂質(カロリー)は非常に高く、野鳥に好まれています。

 果実の飴色で強い光沢があり、一般に「きつねの小判」「ねずみの小判」と呼ばれています。

 日本では果実から蝋を取る目的のために、主に暖地で栽培されていました。

 中国や東南アジアなどで、ウルシ液を取るために栽培しているものはハゼノキの近親種で、日本ウルシよりもゴム質が高いと言われています。

和ろうそく」の原料となる木蝋は、ハゼノキやウルシナンキンハゼの果実から採れる油脂から作るられています。

 果実を砕き、蒸してから圧搾すると木蝋が採取できます。

 ナンキンハゼについては「ナンキンハゼの紅葉名所は日本で奈良公園だけ?そこには鹿との複雑な関係性があった」で詳しく紹介しております。

江戸時代に生活の明かりをもたらした「ハゼノキ」

 私たちの身近で見ることのできるハゼノキは、江戸時代に植栽されたものが、各地で野生化したことによります。

 また、大正時代から昭和初期にかけての木蝋生産の最盛期にも、ハゼノキは盛んに栽培されました。

 現在でも坐薬軟膏の基剤、ポマード石鹸クレヨン、化粧品の口紅ハンドクリームなどの原料として利用されています。

 海外へは「ジャパンワックス」と呼ばれ、ヨーロッパアメリカへの輸出が盛んです。

 このことから、ハゼノキは英名で「Japanese Wax Tree」と呼ばれています。

 近年、この植物性100%の木蝋から作る「和ろうそく」は、、、

  • すすが少ない
  • 風に強く消えにくい
  • 完全燃焼する
  • 蝋がこぼれ落ちない
  • 風がなくても炎が変わる

 という特徴があり、現在注目を浴びています。

最後に -和ろうそくの歴史-

 江戸時代に「和ろうそく」が開発されました。

 明かりのない生活から「和ろうそく」が次第に普及していきました。

 その歴史について、参考になる面白い記事がありましたので引用します。

 電気のない時代の人々と「和ろうそく」との関係性が描かれています。

 明治以降に電灯が普及するまで、夜は暗いのが当たり前だった。

 その夜を僅かにでも明るくするのが行灯(あんどん)でありロウソクだった。

 今から見れば、ともに暗い照明であるが、当時は夜更かしの遊びにしても学問、仕事にしてもそれで十分だったのだろう。


 液体の油脂の中に火芯を浸し火を点けるのが行灯、固形の油脂に火芯を埋め込んだのがロウソクで、それが故にロウソクは移動用の提灯の灯として主に用いられた。

 燃料となる油脂は動物性のものと植物性のものがあり、燃えて煙と悪臭を出す魚油や獣脂などは安物だった。

 植物性の油脂として、行灯には菜種油が使われたが高価であった。


 ロウソクの材料には蜜蝋(蜜蜂が作る巣の材料)やイボタノキにつくイボタロウムシウルシハゼノキなどが使われた。

 ウルシやハゼノキ、ナンキンハゼなどの実を砕き、蒸してから圧搾すると木蝋が採れた。

 この木蝋を原料にしたロウソクを和ろうそくと呼ぶ。

 火芯には茅などのイネ科の草の茎を使っていたが、後に和紙を使うようになる。

 
 江戸時代には各藩の産業としてハゼノキの栽培が行われていたようだ。

 ハゼノキは江戸時代以前に渡来していたが、江戸時代以降各地に普及する。

 またロウの採取を目的にしたナンキンハゼの渡来もこの時期になる。


 江戸時代を通してロウソクは行灯に較べて高価な照明で、貴重品であった。

 裕福な商人や武家が儀礼などで使うか、外出時の提灯の灯として使われた。

 江戸の庶民は行灯を主に使い、農山村では囲炉裏の炎の灯で明日の農作業の準備をしていた。
 江戸時代後期にはかなり割安となり、和ロウソクの最盛期になる。

 それでも貴重品であり、使った後に流れて溜まる蠟を、再利用のために買い集める「蝋燭の流れ買い」という商売などが成立する。

 宮部みゆきの時代小説に、この商売をする男が登場する話がある。

 庶民の細々とした生業である。


 明治になりパラフィンロウソク(西洋ロウソク)が輸入されると急速に置き替わっていく。

 大量生産が可能で和ろうそくに較べて明るかった。

 明治時代に西洋ロウソクが全国の庶民にまで普及し、夜を少しだけ明るくした。

 ちなみに光度の単位であるカンデラは、ロウソクの英語Candleを語源とし、ロウソク1本の明るさが1カンデラとされた。

引用:植物図鑑「ハゼノキ」

 以上が「江戸時代に生活の明かりをもたらした「ハゼノキ」の紅葉の魅力と歴史を紹介!」の解説になります。最後まで読んで頂きありがとうございます。

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