針葉樹と広葉樹の違いをご存知でしょうか。

 その名の通り、”針の葉”と書いて「針葉樹」と呼び、”広い葉”と書いて「広葉樹」と呼ぶことから葉の形に違いがあります。

 このことから、まず葉を観察すれば、針葉樹と広葉樹を見分けることができます。

 また、その他にもタネ生息地の違い、樹木の形年輪の違い、材質の違いなど、針葉樹と広葉樹には数多くの違いがあります。

 本記事では、これら針葉樹と広葉樹の違いをまとめて紹介しています。

 最後まで、お付き合い頂けると幸いです。

”葉っぱの形”で見分けよう!

 まずは、名前の由来からも分かりやすい”葉の形”の違いです。

 ”針葉樹”は、針のように細く尖った葉を持っています。

 ”スギ”のように針状の小葉が集まっているものや、”モミ”のように葉の先が鋭利に尖っているものが挙げられます。

 また、針葉樹のほとんどは常緑樹であり、冬でも葉を落としません。

 このように、厳しい寒さの中でも青々と茂る常緑樹に、古くから人々は神々しい生命力を感じてきました。(以下の記事参照)

 その結果、現代でも「松竹梅」の”マツ”は不老長寿のシンボルとして、正月の軒先に飾られています。

※例外として、葉が平らなナギ”や、落葉する”カラマツ”などの針葉樹もあります。

 一方で、”広葉樹”は広くて平らな葉を持っています。

 広葉樹の葉は種類が多く、もっとも一般的な楕円形の葉から、”もみじ”のようにギザギザに切れ込みが入っているもの、”トチノキ”のように複数の葉が集まって一つの葉となっているものがあります。 (以下の記事参照)

 また、広葉樹には、”常緑樹”と”落葉樹”の2種類あります。(以下の記事参照)

 以上が、”葉っぱの形”の違いになります。

 名前の違いがそのまま葉の形となっているので、見分けやすく、また覚えやすいです。

 まとめると、以下になります。

・針葉樹は細く尖った”常緑”の葉っぱ。
・広葉樹は広く平らな葉っぱで、”常緑”と”落葉”がある。

”種(タネ)の違い” -裸子植物と被子植物-

 次は、種の違いについて覚えていきましょう。

 針葉樹は、”裸(はだか)の種子”と書く「裸子植物」に分類されています。

 代表的なものとしては、”マツボックリ”がこれに当たります。

 このように、針葉樹は種子がむき出しになった樹木を指し、”イチョウ”が平らな葉をしているにも関わらず、針葉樹に分類されているのはこのためです。(以下の記事参照)

 一方で、広葉樹は、”被(かぶ)る種子”と書く「被子植物」に分類されます。

 実際に、種子を覆っているものは”子房”であり、果実となっているものが多いです。

 子房は栄養価が高く、この進化により動物散布が可能となりました。(以下の記事参照)

 またこの結果、針葉樹との生息地の競争に勝ち、広葉樹が世界中に広く分布しています。

 現在、”裸子植物”は地球に生息する植物の4%であり、そのほとんどが”被子植物”であると言われています。

 一般的に、針葉樹が誕生したのは今から約3億年前であり、広葉樹は約1億5000万年前と言われています。

 つまり、”裸子植物”がより進化した”被子植物”と考えることができます。

「”針葉樹”が古く、”広葉樹”が新しい樹木」

 と覚えるといいでしょう。

 歴史をさかのぼると、光合成を行う”植物の先祖”である「藻植物」が生まれたのは約35億年前になります。(以下の記事参照)

 そこから地盤の隆起により、5億年前に上陸したとされています。

 これが”シダ植物”の祖先となる植物です。

 しかし、藻の仲間であるため、初めは”海辺”に生息していました。

 これは、その後のシダ植物も同様ですが、子孫を残すため”精子”と”卵子”による胞子を作る方法をとっていたことにより、精子の移動に水を必要としていたためです。

 そうして陸地へ生息地を広げていく過程で、乾燥にも耐えることのできる”裸子植物”が初めに誕生しました。

 こうして、植物は徐々に海辺を離れていくこととなりました。

 しかし、種子を落とし分布を広げる方法には、限界があります。

 そうして”被子植物”が誕生し、動物分布により、広葉樹は生息地を広げていきました。

 またこの結果は、樹種の数にも表れており、針葉樹は約540種類であるのに対し、広葉樹は約20万種類以上に及びます。

 以上の”種(タネ)”の違いを以下にまとめます。

・針葉樹は”裸子植物”で、タネがむき出しになっている。
・広葉樹は”被子植物”で、子房に覆われた果実となっている。

”生息地の違い” -寒い地域と暖かい地域-

 針葉樹と広葉樹は自生する生息地が異なります

 針葉樹は、北欧やロシアなどの極寒の地域に分布していることからも分かるように、厳しい環境にも耐える樹木です。

 一方で、広葉樹は温暖な地域に分布しています。

 たとえば、アマゾンの熱帯雨林には広葉樹が分布しています。

 この違いは、上述した進化の歴史が関係しています。

 針葉樹は、”仮導管”と呼ばれる”水を吸い上げる菅”が組織の95%を占めています。

 これは古い構造であり、水を吸い上げる効率が悪い方法ですが、これにより凍結に強いという優位性を生かして極寒の地に広がり生き延びてきました(以下の記事参照)

 この仮導管は、細胞間に小さな穴が空いており、この穴を通して細胞から細胞へと順番に水が伝えられていきます

 この方法により、水が凍結するような地域でも、バケツリレーのように水を吸い上げることができます。

 また、針葉樹の細く尖った常緑の葉は、極寒の中でも葉からの水分の蒸発を防ぐ方法として適しています。

 一方で、広葉樹は、幹の中に”導管”と呼ばれるストローのような水を吸い上げるための空洞を持っており、根で吸い上げた水を大量に運搬しています。

 このことから、水を運搬する量は「導管仮導管」となります。

 また、広葉樹の広い葉は、光合成においても光を効率的に吸収します。

 これらの点が、広葉樹が成長に適した温暖な地域での生存競争で生き残った要因と言えます。

 しかし、導管は中の水が凍結すると、氷が溶ける時に生じる気泡によって水を吸い上げることができなくなってしまいます

 以上の構造の違いが、”生息地の違い”に表れています。

・針葉樹は、寒い地域に生息。
・広葉樹は、暖かい地域に生息。

”樹木の形”で見分けよう! -縦にまっすぐ・横に大きく-

 次は、”樹木の形”で針葉樹と広葉樹を見分けていきましょう。

 針葉樹は、空に向かって”まっすぐ”成長する特徴があります。

 クリスマスツリーで用いられている”モミ”の木をイメージすると分かりやすいですね。

 一方で、広葉樹は、種類によって様々ですが、枝分かれが大きく樹冠を広げ、横に成長していく特徴があります。

 広葉樹は”街路樹”として数多く植えられていますが、この特徴により、枝が横に広がり電線に触れないよう、定期的に”剪定”を行う必要があります。

 しかしこの結果、”プラタナス”のように本来であれば”果実”をつける樹木が、街路樹では実らない現象が起こっています。(以下の記事参照)

 以上のように、針葉樹は”縦にまっすぐ”、広葉樹は”横に大きく”成長する違いがあります。

 そのため木材にする場合には、まっすぐな針葉樹である”スギ”や”ヒノキ”が、主に木造建築の”柱”などの構造材に用いられています。(以下の記事参照)

 また、まっすぐな長い板が取れ、木目が通ったスッキリした印象になることから”フローリング材”として重宝されています。

 一方で、広葉樹は、左右へ太い枝を張りながら成長するため、まっすぐに育ちにくいですが、木目が面白く、家具や工芸品に重宝されています。

 また、大きく成長すれば”柱”に用いることができます。

 神社仏閣でも柱として用いられ、清水寺の「清水の舞台」を支えている柱には”ケヤキ”が用いられています。(以下の記事参照)

 以上が、”樹木の形”の違いになります。

・針葉樹は、縦にまっすぐ成長する。
・広葉樹は、横に大きく枝分かれして成長する。

”年輪の違い” -成長速度との関係-

 針葉樹と広葉樹で、年輪の様子が異なります

 これは樹木には「形成層」と呼ばれる層があり、この層が成長し広がることにより幹が太くなります

 また、季節によって成長速度が異なるため「年輪」ができます。

 ””は、太陽の光が十分にあり、光合成が活発に行われるため最も成長し、””は成長速度が遅くなります。

 成長が早い層(夏目)は、明るい色となり、成長が遅い層(冬目)は暗い色になります。

 この色の濃淡の違いにより、年輪が形成されます。

 そのため、樹木が常に成長できる熱帯地域では、通常年輪が形成されません

 一般的に、この季節の成長速度の違いにより、針葉樹はくっきりとした年輪ができるのに対し、広葉樹は年輪がはっきりしないことが多いです。

 しかし、広葉樹でも、年輪が見えるケヤキ”のような木もあれば、年輪が全く見えないホオノキ”などもあり様々です。

以下に、一般的な”年輪の違い”をまとめます。

・針葉樹は、年輪がくっきりしている。
・広葉樹は、年輪がはっきりしない。

”材質の違い” -針葉樹は軽い・広葉樹は重い-

 最後に、針葉樹と広葉樹の”材質の違い”について紹介します。

 ”針葉樹”は、相対的に早く成長するので、一般的に材質は軽くなります

 以下に、一般的に木材の重さを表す”比重”をまとめます。

水の比重を”1”とした際の相対的な重さになります。

「針葉樹」(引用:木材博物館)
・スギ(0.38)
・ヒノキ(0.41)
・カラマツ(0.50)
・ヒバ(0.37〜0.52)
・モミ(0.35〜0.52)
・アカマツ(0.53)

 一方で、”広葉樹”はゆっくりと成長するので、材質が緻密になり重くなります

「広葉樹」(引用:木材博物館)
・ブナ(0.50〜0.70)
・イチョウ(0.55)
・イタヤカエデ(0.58〜0.77)
・ヤマザクラ(0.60)
・エンジュ(0.63)
・ミズナラ(0.67)
・ケヤキ(0.69)
・アカシア(0.78)

 しかし、広葉樹は種類が多いことから、例外もあります。

 たとえば、タンスに用いられる”桐(キリ)”は、成長が早いため国産材の中では、最も軽い樹木として知られています。(比重:0.19〜0.30)

 さらに、材質としては”軽い=柔らかい”となります。

 そのため英語では、針葉樹は「Softwood」、広葉樹は「Hardwood」と呼ばれています。

 針葉樹は、この柔らかい材質から”加工しやすい”という特徴があります。

 また、”軽い=空気を含む”ことから、触れると温かみを感じます

 一方で、広葉樹は”重い=硬い”ことから、傷つきにくい特徴があります。

 そのため、靴を履いて生活をする欧米では”フローリング材”として重宝されています。

 以上が、”材質の違い”になります。

・針葉樹は、軽くて柔らかい。
・広葉樹は、重くて硬い。

最後に -針葉樹と広葉樹の違い-

引用:水底の歌さん (GANREF)

 以上が「[まとめ] 針葉樹と広葉樹の”種類”と”違い”とは?」になります。

 最後まで、読んでいただきありがとうございます。

 本記事では、葉の形タネの違い、生息地樹木の形の違い、年輪材質の違いについて紹介しました。

 歴史的に見ると、”針葉樹”が古く、”広葉樹”が新しい樹木であり、”果実”をつけることで動物分布が可能となり生息地を広げていきました。

 そうして、広葉樹は生存競争に生き残り、その種類数も多くなっています。

 しかし、針葉樹も”仮導管”という古いシステムにより、現在でも寒い地域で生き延びています。

 また、年輪や材質をとっても、それぞれの樹木に良さがあり、日本では針葉樹が多く植林され繁栄を築いているケースもあります。

 5億年前に上陸し、進化を遂げてきた樹木ですが、長い歴史の中では現在も一時の進化の過程に過ぎず、これら違いも樹木にとってはあまり関係のないことなのかもしれません。

 本記事が、樹木を観察してみるキッカケとなれば幸いです。

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 またこの記事を読んで、少しでも森林や林業について関心を持って頂けると幸いです。

※アイキャッチ画像引用:K.Tomihisaさん (GANREF)