”南天(ナンテン)の木”をご存知でしょうか。

 ナンテンは、雪うさぎを作る際や、正月の玄関先で”ヒイラギ”と一緒に飾られることが多い樹木です。

 ナンテンは”難が転じる”と書き「難転」と読むことから、古くから”縁起の良い”ものとされ、正月の神社仏閣で、赤い実がなったものが新年の生け花として利用されています。

 そのため、古くから庭木として人気があり、園芸品種は100種類を超えます

 またナンテンは、実の有効成分を用いた”南天のど飴”がとても有名です。

 これは「ドメスチン」や「ナンジニン」の成分が”咳止め”に効くとされ、漢方薬としても”喘息”や”百日咳”に用いられています。

 本記事では、このような”南天(ナンテン)の木”の特徴について紹介していきます。

 最後まで、お付き合い頂けると幸いです。

”南天(ナンテン)の木”の特徴を紹介!

 ”南天(ナンテン)”は、メギ科の常緑低木です。

 中国原産の樹木であり、山東省から貴州省にかけて自生しています。

 ナンテンは、古くは”薬用木”として中国から渡来してきたもので、現在でも西日本の暖地に自生しており、山口県川上村では”天然記念物”に指定されています。

 樹高は2m程度であり”低木”に分類されますが、まれに5mに達するものがあり、直径10cmになる大木です。

 そのため、日本や中国では”床柱”として重宝されていました。

 ”床柱”とは、床の間の片方の脇に立つ”化粧柱”を指し、一定以上の幹の太さが必要となります。

 そのため、焼失した京都・金閣寺の床柱があまりに大木であったために、”イイギリ(南天桐)”であると推測されていたことは有名です。。(以下の記事参照)

しかしながら、調査の結果、正真正銘の”ナンテン”の木であると判明しています。

 なお、東京・帝釈天題経寺にある「南天の間」の床柱は、これよりもさらに太いです。

 

 ナンテンが床柱として、重宝されるのは、材が黄色味をおびていて”美しい”とされているためです。

 しかし上述の通り、幹が太いものは数が少ないです。

 また、幹を削って”煎じ汁”を飲むと、中風に効くとされています。

 これは、ナンテンの「アルカロイド」と呼ばれる有効成分の効用であり、実は有害物として分類されているものですが、薬用植物としては重要なものであります。

 また、木材で「不老長寿」で知られる”南天箸”が重宝されているのも、この成分が防腐殺菌に効果があるためであるとされています。

 ナンテンの箸は、他の箸と比べかなりの重みがあり、新しいうちは黄色味を帯びていて清々しく、見た目にも美しく清潔感があります。

 また材質は硬いので、細工にも向いています。

正月に飾る縁起の良い赤い実とは!?

 ”南天(ナンテン)”の赤い実は、晩から冬にかけて結実します。

 はじめは緑色ですが、11月ごろになると赤色になり、熟すと直径6〜7cm程度の球形の果実がたくさん実ります。

 また赤い実の他にも、白い実紫の実などの種類もあります。

 果実は多少の酸味があるとされ、知覚の麻痺や血圧効果の作用があり、有毒であるとされていますが、咳止めの薬としては”妙薬”であります。

 そのため、漢方薬としても”喘息”や”百日咳”に用いられています。

 この咳止め効果は、「ドメスチシン」や「ナンジニン」が有効成分であるとされ、厚生労働省が定める医薬品の一つに数えられています。

 市販されている、南天の実エキスを用いた”南天のど飴”がとても有名ですよね。

 またナンテンは、古くから庭木や盆栽として鑑賞され、江戸時代には多くの園芸品種が作られました。

 特に生け花の材料としての利用が多く、こと新年の生け花として用いられています。

 この鮮明な赤色の実は、冬景色に映え、非常に印象的です。

 また、ナンテンは”難が転じる”と書き「難転」と読むことから、古くから”縁起の良い”ものとされ、正月の神社仏閣で飾られていることが多いです。

 この他に、常緑であることも縁起が良いとされる一つの要因であるでしょう。(以下の記事参照)

 そのため、災いや穢れを断つために、古くから玄関先やトイレ付近、鬼門の方角に植えられています。

 またナンテンは、育つ土壌を選ばず日光の直接届かないような場所でも育ちます

 その上、病害にも侵されず、虫も寄りつきません。

 このようにナンテンは、とても魅力の多い樹木であります。

”南天(ナンテン)”の花言葉とは!?

 ”南天(ナンテン)”は赤い実が有名であるため意外と知られていないですが、6月ごろに小さな白色の小花をいっぱいにつけます。

 白い花をつけた後に、赤い実をつけることから、愛情が深まっていく様子を表す花として人気があります。

 そのため、花言葉は「募る愛」とされています。

 また、果実も葉も食べることが出来ませんが、利用例として、地方では快気祝いなどで赤飯の上に葉が飾られていることがあります

最後に –ナンテンの思い出

 このように、”南天(ナンテン)”は古くから「難転」に由来した”縁起の良いもの”とされてきました。

 そのため、古くから庭木として数多く植えられており、身近な樹木であった方も多いのではないでしょうか。

 以下に、有用草木博物辞典の作者である「草川 俊」さんが”ナンテンの思い出”について語った一文を引用いたします。

 ナンテンについて、忘れかねる思い出がある。

 旧制の中学生になったばかりだから、昭和の一桁時代である。

 秋のさわやかな縁側の日だまりで、運動会に備えて、足の爪を切っていた。

 散らばった爪の破片を拾い集め、庭先に捨てようとしていたときだった。

 近くで針仕事をしていた母の声がとんできた。

「出世前の男の爪は、ナンテンの根元に埋めるものだよ」

 といって、チリ紙に丁寧に汚れた爪の破片を包んだ。

 それから庭に降りて、生け垣の端にあったナンテンの根元を掘って埋めた。

 真剣な母の顔に圧倒されて黙っていたが、中学生になったばかりの生意気ざかりで、腹の中で迷信だと笑っていた。

 母が爪をナンテンの根元に埋めた理由も、おそらく難転の願いからきたものにちがいない。

 このことを長い間、考えてみようともしなかった。

 申し訳ないと気がついた時、母はすでに亡くなっていた。

引用:有用草木博物辞典「草川 俊」

 ”南天(ナンテン)”は、都会の周辺ではあまり見る機会の少なくなった樹木であります。

 私が”南天(ナンテン)”についての記事を書こうと思い立ったのも、毎年初詣で訪れる奈良・大神神社の鳥居前に、ナンテンが飾ってあったことからです。

 植物が活動を休止する冬季は、生け花に限らず、生活の中においても”色どり”がどうしても少なくなってしまいます。

 その中でも、真っ赤に色づいたナンテンの実は、とても印象的であり、新年を迎えるにあたり「心機一転頑張ろう」と決意する気持ちを後押ししてくれるような魅力があります。

 本記事を参考に一度、”南天(ナンテン)”を観察されるキッカケになると幸いです。

以上が「のど飴に用いられる”南天(ナンテン)の木”の特徴を紹介!正月に飾る縁起の良い赤い実とは!?」の解説になります。

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※本記事は「有用草木博物辞典」を参考に執筆しております。

※アイキャッチ画像引用:伏見恵比寿さん (GANREF)