雨上がり、赤い実についた水滴の光沢が輝く”ナナマカド”。

 色づいた葉とともに、いち早く秋の訪れを告げています。

もみじ」という言葉は、もともと”秋に紅葉する植物の全般”を指していました。

 しかし現代では、その中でも”カエデ科”の樹木を「もみじ」と総称し、”イロハカエデ”や”オオモミジ”、”ヤマモミジ”など、約20種類が日本に自生しています。

 この他にも、”ツタウルシ”や”ヤマウルシ”、”ハゼノキ”などの”ウルシ科”の紅葉も美しいです。

 日本は、このように海外と比べ”紅葉のバリエーションが多い”ことから「日本の紅葉は世界で一番美しい」と称されています。

 そして、これら秋を代表する樹木に、負けず劣らず、紅葉が見事なのは”ナナカマド”です。

 ”ななまかど”のあふるるばかり赤き実よ 木々落葉せし山中にして

佐藤佐太郎

 特に、落葉後にいつまでも枝に残る”赤い実”が美しく、澄みきった秋空に、赤いルビーのように輝いている実がとても印象的です。

 このようにナナカマド実は、見終わった後も”脳裏に焼きつく”ような魅力があります。

 本記事では、そのような紅葉が美しい「ナナカマド」の”実”や”花木”の魅力を紹介していきます。

 最後まで、お付き合い頂けると幸いです。

ナナカマドの”名前の由来”や”歴史”を紹介!

 まず始めに、”ナナカマド”の名前の由来について紹介します。

 ”ナナカマド(七竈)”という名前は「”七回かまど”に入れても燃え尽きない」材質の特徴から由来しています。

 また、良質の炭を作るには「7回かまどに入れる必要がある」ことから、水分を多く含んでいる樹木と言えます。

 しかし、一度”炭”にしてしまうと良く燃えるため重宝されています。

 ”ナナマカド”は庭木としては、北海道で盛んに植えられています。

 西ヨーロッパでは、”オウシュウナナカマド”が古くから”街路樹”や”庭木”として植えられており、日本のナナカマドと違い紅葉せずに、黄色に黄葉します。

 北海道で、ナナマカドが庭木として植えられ始めたのは昭和初期であり、近年では旭川市や名寄市などで、見事なナナカマド並木が植えられています。

 旭川市では1964年に「市の木」に認定されており、続いて1966年に砂川市でも”市民の人気投票”によって「市の木」認定されています。

 このように採用されたナナカマドの魅力の一つに、葉が散った後でも長く赤い実を楽しめる点が挙げられています。

 古くから厳しい冬を迎える市民にとって、晩秋の青空に輝く赤い実が”つかの間の癒し”であったのでしょう。

 また、この赤い実の魅力は、”南天(ナンテン)”や”飯桐(イイギリ)”に共通して言えることであります。(以下の記事参照)

美しいナナカマドの”実”の魅力とは!?

 ヨーロッパと日本の”ナナカマド”には、大きな違いがあります。

 ドイツでは”オウシュウナナカマド”の実が”ジャム”へと加工され、”食べられる実”として一般的であります。

 また、実から”お酒”が作られ、”木汁”は下痢に効果があるとされ重宝されています。

 しかし日本の”ナナカマド”は、苦くてジャムになりません。 

 また苦味の他にも、毒素成分である「シアン化合物」が含まれているので、大量に摂取する際には注意が必要です。

 鳥が実を食べている光景を目にすることがありますが、これは霜が当たることによって加水分解がなされ、毒が抜けている状態にあります。

 そのため鳥は、秋に実がなってすぐには食べず、初冬の食べ頃に変化してから実を見分けて食べているようです。

 ナナカマドにとっても、タネを遠くへ運んでもらえるメリットがあるので、”持ちつ持たれつの関係”が成り立っています。

 その他にも、ナナカマドの果実には「ソルビン酸」が含まれています。

 ソルビン酸は、食品の保存料としても用いられている成分であり、葉が落ちた後でも赤い実が腐らずに残る理由でもあります。

 この成分のおかげで、白い雪と赤い実の”冬のコントラスト”が実現し、雪国の”冬の風物詩”となっています。

ナナカマドの”花木”の特徴を紹介!

 ナナカマドは、山の奥深くに自生する樹木であり、高さ10mにもなる落葉高木です。

 北海道から屋久島に至るまで、日本全国に分布しています。

 また”ナナカマド”は、じつは”バラ科”に属しており、葉は9枚から17枚までの奇数小葉であります。

 4月下旬〜5月ごろにかけて、多数の白い花が咲き誇り、花弁は5枚です。

 また、ナナカマドの花には「慎重」「賢明」という花言葉があります。

 これは、”燃えにくい”というナナカマドの名前の由来から、この花言葉が当てられました。

 ナナカマド属は、世界に約80種が存在しており、北半球の温帯〜亜寒帯まで広く分布しています。

 その中でも、日本には以下の品種が自生しています。

タカネナナカマド (高嶺七竃)
・北海道や本州の北部、中部の高山帯に自生する。
・樹高は1m〜2mと低く、盆栽として人気がある。

ウラジロナナカマド (裏白七竃)
・葉に光沢がなく、葉の裏が白っぽい。
・日本の特産種であり、タカネナナカマドと生息分布は似ている。

ナンキンナナカマド (南京七竃)
・日本の特産種であり、関東より西に分布する。
・生け花などに用いられる最も一般的なナナカマドである。
・高さ2m程度の低木であるため”ナンキン”という形容詞がついた。
・夏の初めにクリーム色の花を咲かせる。

 ”材質”は硬く、辺材は淡黄色で、芯材は暗褐色であります。

 また材質が硬いことからも、木質は緻密であり、割りにくいという特徴があります。

 しかしその反面、腐りにくい性質があり、さまざまな用途に用いられています。

 主な用途として、ロクロ細工や彫刻用材、家具や器具材が挙げられます。

最後に -現代のナナカマド-

 はじめは、北海道で庭木として植えられていた”ナナカマド”ですが、時代が移り、現在ではメインストリートの並木の主役となっています。

 また稀ですが、関東の都市部でも”街路樹”として植えられています。

 もともとは、認知されづらい山奥に自生していた樹木であるので、街の並木にまで用いられるようになった”出世木”と言える存在であります。

 ぜひ一度見かけた際は、本記事をご参考にして頂けると幸いです。

 以上が「紅葉が美しい「ナナカマド」の”実”や”花木”の魅力を紹介!」になります。

 最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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※アイキャッチ画像引用:わたあめさん (GANREF)