マツ科のカラマツは、四季によって立ち姿が変化する”美しい木”として知られています。

 またカラマツは、日本原産の針葉樹の中で、唯一の落葉樹です。

 そのため、そのまま「落葉松」と書いて「カラマツ」と読むこともあります。

 カラマツは土質を選ばず、他の樹種では育ちにくい土地でも成長することができます

 そのため、浅香山や八ヶ岳、富士山や日光地方の標高およそ1000m〜2800mの間に自生しています。

 また、過去に山火事や崖崩れが合った跡地に真っ先に生える、先駆樹木でもあります。

 カラマツは北海道では、最も重要な造林樹の一つであり、民有林におけるカラマツ人工林面積は約32万haです。

 これは、原産地である長野県に次いで多い資源を有しています。

 また、国産材生産量の樹種別割合は、スギが57%、ヒノキが12%、カラマツが11%、広葉樹が11%となっており、このことからもカラマツの生産量が多いことが分かります。

 そのうち、北海道の生産量は160万㎥で、国内シェア7割近くを占めています

※単位:万㎥ (農林水産省 平成28年木材需給報告書)

 また、長野県では造林面積の50%を占めており「信州プレミアムカラマツ」は信州産の特産品となっています。(木曽官材市売協同組合)

 本記事では、カラマツ材の需要が近年高まっている理由と、カラマツ材の特徴と歴史を紹介していきます。

 最後まで、お付き合い頂けると幸いです。

カラマツ材の特徴と歴史を紹介!

 カラマツは耐寒性があり、成長が早いことで知られています。

 エゾマツトドマツが60年もかかるのに対し、カラマツは半分の30年で伐採が可能です。

 そのため北海道では、戦後にカラマツの造林事業が盛んに行われました。

 カラマツの苗の育成(育苗)は、1932年に長野で始まり、北海道でも信州から種子を取り寄せて播種が初められました。

 1937年に、長野県で育苗が成功したことを皮切りに、カラマツ造林が盛んに行われていきました。

 北海道において、カラマツ造林が盛んに行われた理由として、生育に適した気候であると同時に、北海道内に炭鉱が非常に多く、枕木としての需要が多いことが挙げられます。

 このように、古くからカラマツの造林が行われてきました。

「不毛の大地」への挑戦”パイロットフォレスト”

 根釧原野の別寒辺牛川に位置する無立木地帯は、度重なる山火事によって荒廃し「不毛の大地」呼ばれていました。

 そこで1957年に、カラマツ大森林の造林を目指す「パイロットフォレスト」が開始され、約1万haのカラマツが植林されました。

 しかし、現代での鹿による食害と同様に、北海道の造林においては、野ネズミや野うさぎの食害への対策が最も重要であり、毎年莫大な損害と、防除作業や薬剤散布のために多額の経費をつぎ込んできました。

 このように、林業と食害は切っても切り離せない関係です。(以下の記事参照)

 そこで、1960年代から野ネズミの食害に強いグイマツとの交配種を作る研究が開始され、「グイマツ雑種F1」が開発されています。

 この交配種は成長の早さ耐寒性先枯病に強い点で優れており、近年注目を集めています。

 また、2020年から南会津樹木育苗センターが運営を開始し、年間約30万本のカラマツの苗を生産することを目標としています。

なぜ”カラマツ材”の需要が高まっているのか!?

 カラマツ材は、30年ほどで伐採が可能であるため「伐って育てる」循環型林業のモデルとして、近年注目されています。

※また循環型林業は二酸化炭素の削減にも貢献します。詳しくは以下の記事で紹介しています。

 カラマツ材は、マツ科であるため、スギよりも硬く粘りのある材質です。

 年輪や木目は赤みを帯びており、力強い印象を受けます。

 また針葉樹であるため、幹は真っ直ぐに成長し、木材として利用しやすい樹木です。

 さらにカラマツは、樹脂分が多いことから耐水性・耐朽性が高く、建築材でも特に土台や土木用材、杭木、枕木などに重宝されています。

 しかしこれらの優れた特性を持つカラマツですが、枕木や電柱用材の需要の低下と共に影を潜めていました。

 またカラマツは、心材の樹脂分が多く乾燥すると固まる性質があります。

 さらに、ねじれながら成長するという特性があり、木材として用いる際には、十分に乾燥させないと狂いが生じるという問題があります。

 その結果、時には建築用材として選択されなかった時代もあります。

 しかし近年では、乾燥技術や製材・木取の技術の進歩により、これらの問題が解決されています

 そのため、もともと資源豊富なカラマツは、技術の発展により、長所を最大限に引き出され、近年注目される樹木の一つとなっています。

信州産カラマツのブランド化の取り組み

 中部森林管理局は、長野県と共同で、県内産の樹齢80年以上の高級カラマツ人工林から径級30cm以上の良質な大径材丸太を厳選し「信州プレミアムカラマツ」として、2017年より供給・販売を開始しています。(木曽官材市売協同組合)

※大径材の枯渇問題に関しては以下の記事で紹介しています。

 最高級カラマツは、木材の性質が安定しており、ねじれが生じにくい成熟材が多くなること、スギやヒノキと比べ強度が優れていることに加え、心材部分が飴色で綺麗な木目になり、無垢の横架材(梁や桁など)に適しているとされています。

 樹齢80年生以上のカラマツの資源量は長野県が全国1位で、国内の45%を占めており、大正から昭和初期に植栽された人工林から、高品質のカラマツを継続的に供給できる見通しが立ったことから、ブランド化した販売を開始しています。

最後に -カラマツ材の魅力-

 このようにカラマツ材は、近年価値が見直され、需要が高まっています

 くっきりとした木目と飴色が特徴のカラマツ材は、カントリー調から和風まで様々な空間に適しています。

 また、力強い木目を持つカラマツは、フローリングにするとメリハリの効いた独特の風合いになります。

 また強度を生かし、柱や構造材、外壁材としても適しています。

 このようにカラマツ材は、「総桧(ヒノキ)造り」のように、建築物のあらゆる部分に利用可能な木材でもあります。(以下の記事参照)

 今後とも、カラマツの動向に注目ですね。

 以上が「なぜ”カラマツ材”の需要が高まっているのか!?木材の特徴と歴史を紹介!」になります。

 最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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※本記事は「森林・林業白書 (林野庁)」を参照し、執筆しております。