桜(サクラ)は日本を代表する”国花”です。

 お花見の時期になると、国内外問わず多くの観光客が訪れます。

 このように世界的に有名な日本のサクラですが、サクラの起源を知っている方は少ないと思います。

 山梨県武川町には、樹齢2000年の日本最古の”山高神代桜”が生存しており、古来から人々に大切に守られてきました。

 今から約2000年前は、日本では弥生時代に該当します。

 弥生時代では、サクラは穀物の神が宿る「神聖な樹木」として扱われていました。

 本記事では、日本最古の”山高神代桜”から見えるサクラの起源についてご紹介します。

 最後まで、お付き合い頂けると幸いです。

弥生時代から始まるサクラの起源を紹介!

 農耕文化が日本に伝わり、稲作が始まったのは弥生時代からであると言われています。

 稲作の収穫量には「分げつ」が関係しています。

 茎の根元から新しい茎が出てくることを「分げつ」と呼び、分げつの数が多いと収穫量が多くなります

 分げつは気温や水温に左右され、一日の平均水温23℃〜25℃の時に、最も分げつが促進されます。(平成29年 コメ通信)

 そのため、分げつの時期から逆算して稲作を開始する必要があります。

 また、サクラは「桜前線」という言葉からも、開花時期と気温は密接に関係しています。

 現代の「ソメイヨシノ」の場合は7月下旬に花芽を付け、最高気温7℃以下の日が一定期間続く1月中旬に花芽が動き出し、一斉に開花に向かいます。

 2009年に大阪府立大学の研究グループは、過去約1200年間3月の平均気温の推移結果を発表しました。(朝日新聞)

 対象のサクラは、古くから日本に自生する「ヤマザクラ」で、開花日から気温を逆算しています。

 ヤマザクラの満開日に関するデータは、天皇や僧侶らが書き残した日記などから収集しています。

 結果、13世紀ごろまでは7℃を超える温暖な年が多いことが分かりました。

 このことから、サクラが満開になる4月上旬から、稲作を開始していたのではないかと推測出来ます。

 そして5月上旬に、田植えを開始していたと考えられます。

 このようにサクラは、暦を計算する上で非常に重要な樹木とされていました。

 やがて、サクラの咲き具合で稲作の豊凶を占う習慣が生まれ、サクラは穀物の神が宿る「神聖な樹木」として崇められていきました。

 これは、日本の万物に神が宿るとする「アミニズム」の考え方からすると、自然な流れであると言えます。

 また、各地に「田植え桜」や「種まき桜」が存在するのも、この考え方に由来していると言えるでしょう。

サクラの名前の由来とは!?

 このように、サクラは穀物の神として崇められていました。

 サクラの名前の由来は、数多くの説が唱えられています。

 その中でも、サクラの「」は「サ神様の頭文字から由来してるという説が、最も有力とされています。

「サ神様」は「田んぼの神様」の意味で、「クラ」は神様の居る所である「御座(ミクラ)」から由来しているとされています。

 これは、田んぼの神様が桜に宿り、花びらと共に田んぼに下り、稲作を守るという意味でもあります。

 この説は、古来から稲作の神様として大切に崇められてきた「サクラ」の歴史に準ずるものであり、有力であると考ることが出来ます。

ソメイヨシノには神は宿っていない!?

 このように、サクラは古来から、人々によって大切に守られてきました。

 現代では、気象庁の開花宣言には「ソメイヨシノ」が用いられています。

 また、お花見と言えば「ソメイヨシノ」を一番初めに思い浮かべますよね。

 しかしソメイヨシノは、江戸時代に発見された伊豆半島のサクラであり、古来から日本には自生していませんでした。(以下の記事参照)

 そのため、崇拝の対象となった”桜”は、自生する分布から考えても、静岡県・富山県辺りから西は「ヤマザクラ」であり、関東・東北地方や中部地方の標高が高い地域(山梨県・岐阜県・長野県)は「エドヒガンザクラ」であると考えられています。

樹齢2000年!?日本最古の一本桜”山高神代桜”とは!?

 人々に大切に守られてきた桜の一つに”山高神代桜(ジンダイザクラ)”が挙げられます。

 山梨県武川町にあるこの一本桜は、推定樹齢2000年とされており、日本最古のサクラと呼ばれています。

 実相寺の境内にそびえる、このサクラは「エドヒガンザクラ」であり、日本三大桜の一つです。

 日本三大桜には、この他にも福島・三春滝桜や、岐阜・淡墨桜があります。

 このように、樹齢2000年の「山高神代桜」は、名前の通り神々しいパワーを感じる樹木です。

見る人は思わず手を合わせる」とも言われており、日本屈指のパワースポットとされています。

 また「エドヒガンザクラ」は、他のサクラよりも開花時期が早く、名前の由来の通り春のお彼岸の頃に満開になります。

 このように、老木ながら率先垂範して咲く姿に山高神代桜が持つ生命力を感じます。

 山高神代桜がある実相寺は、標高約550mの場所にあり、春でも寒い地域になります。

 そのため、開花が早い「エドヒガンザクラ」と言えど、例年の見頃は4月7日前後とされています。

 目安としては、温暖な東京の「ソメイヨシノ」の開花宣言の日に訪れると、ちょうど見頃であると言われています。

山高神代桜へのアクセス方法

 武川町には「山高神代桜」の他にも「眞原桜並木」のサクラ名所があります。

 また、開花時期(3月下旬〜4月中旬)には「神代桜まつり」が開催されており、家族連れの方も楽しむことが出来ます。

  • 住所:山梨県北杜市武川町山高2763
  • TEL:0551-30-7866(北杜市観光協会)
  • 見頃:例年4月7日前後(満開期間は1週間~10日間程)
  • アクセス(車):中央自動車道 須玉ICから車で約15分、小淵沢ICから約30分
  • 駐車場:100台(普通車500円)
  • アクセス(電車):JR日野春駅下車、タクシーで約15分
  • アクセス(バス):JR韮崎駅から山交タウンコーチ「下教来石」行きバス約25分「牧の原」下車

最後に – 現代のサクラ-

 現在では、お花見などで親しまれる”サクラ”ですが、古来は穀物の神として崇められていました。

 しかし、古来の人々がサクラの開花で春の訪れを知ったように、現代の私たちも同じく、桜の開花で春の始まりを感じます

 このように2000年の間も変わらず、私たちに春を告げてくれています

 またサクラの起源を”知る”ことで、サクラへの見方がまた変わり、昔に思いを馳せることができるのではないでしょうか。

 以上が「樹齢2000年!?日本最古の一本桜”山高神代桜”から見えるサクラの起源を紹介!」になります。

 本記事を参考に、お花見をさらに楽しんで頂けると幸いです。

 最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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