突然ですが、イメージしてみてください。
あなたは木の下にいます。
そこから木をゆっくり見上げていくと、どんな形の葉っぱをつけてますか?
最もよく見かける楕円形の葉や針のように尖った葉、もみじのようなギザギザの葉やヒノキのような羽型の葉など様々な種類があります。
葉は私たちに日陰を作るだけではなく、本来太陽の光から栄養を得る役割があります。
この光合成と呼ばれる生命活動は、二酸化炭素を吸収し、酸素を排出しながら栄養を作り出しています。
そして葉の形は、その木がどのように光合成を行うかによって、それに適した形となっています。
本記事では葉の形のその意味について紹介いたします。ぜひ最後まで読んでいただけますと幸いです。
木の葉っぱの形には意味がある
葉の縁(ふち)にギザギザ(=鋸歯)ある葉と、ない葉があります。
一般的にこのギザギザによって、光合成に必要な二酸化炭素を気孔に取り込みやすくなり、光合成の効率が高まると言われています。
このギザギザの葉を付けている木は、気温によって生息地が違います。
例えば寒い地域になると、年間の日照時間が短いため、限られた太陽光で効率よく光合成をする必要があります。
そのため、北海道のような寒い地域にはギザギザの葉を持つ樹種が、沖縄のような暖かい地域にはギザギザの葉を持たない樹種が多い傾向にあります。
トゲのないヒイラギ(柊)の葉っぱ
ヒイラギの若い木の葉には、針のように鋭いトゲがあることで有名です。
触るととても痛く、これは草食動物から身を守るためと言われています。
その証拠に、樹高が2mを超える頃から次第にトゲが減り、完全に大木となり高い位置につくとトゲはほとんど無くなります。
またシカが多い森には、幼木のヒイラギが多く見られます。
シカに何度も食べられては、生えての攻防を繰り返している証拠でもあります。
切れ込みがある葉っぱとない葉っぱ
クワの木を観察すると、幼木は深く切れ込みの入った葉が多いですが、高い木になると切れ込みのない葉となっています。
ある研究結果は、葉に切れ込みがあることで、風の通りの少ない森林の低層にて風の通りを良くし、光合成に必要な二酸化炭素を取り込みやすくする効果があるとされています。
そのため高木となり、風がよく抜ける樹冠上部では切れ込みがなくなります。
観葉植物で有名な、熱帯雨林に生息するモンテスラの葉に穴が空いているのも同じ理由です。
また熱帯雨林に生息するポトスの葉は最大50cmに達し、同じく切れ込みがあります。
これは熱帯地域のサイクロンなどの強風を受けて、葉が破れたりするのを防ぐ役割を果たしています。
針のように尖った針葉樹の葉っぱ
木には常緑樹と落葉樹の2種類があります。
一般的に暖かい地方は常緑樹、寒い地方は落葉樹が多い傾向にあります。
しかしながら北海道などの亜寒帯までの極端な寒さとなると、常緑の針葉樹の勢力が一気に多くなります。
寒くて夏が短い場所では、落葉樹のように葉を毎年作り替えることにエネルギーを注ぐよりも、細くても丈夫で冬越しできる常緑の葉をつけた方が効率が良いと考えられています。
また北海道などの高緯度地域では、太陽の位置が低いです。
そのため日光が横から当たる時間が長いので、平面な葉よりもあらゆる角度から日光を受けられる立体的なスギやマツなどの針葉樹の葉の形が求められます。
また葉を針形することで水分が蒸発する面積を小さくし、表面をワックスで覆うことで、水分の蒸発を防ぐことができます。
葉の面積が小さくなるため、光合成の効率は減りますが、極寒の地域では日光を競合して奪う木が少ないので問題がないということなのでしょう。
そのため暖かい地方に育つイヌマキやナギは学術的には針葉樹に分類されていますが、広葉樹のような広い葉を持っています。
葉っぱの形には機能的な役割があった|最後に
3億6000万年前に誕生し、長い年月をかけて進化し続けてきた「木」は、葉の形を変えることで生息地の環境に順応していきました。
そのため同じ地域に、似た形の葉があることは当たり前のことなのです。
ぜひ樹木図鑑を片手に、森林を散策してみてください。そこには必ず自分だけの発見があります。
おすすめの樹木図鑑は以下になります。
この記事を読んで、少しでも木や森林について関心を持って頂けますと幸いです。
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