”屋久島”や”熊野古道”のいわゆる”鎮守の森”へ行くと、20mを超える巨木がそびえ立っています。

 一般的に、スギの寿命は長くても500年と言われています。

 しかしながら、屋久島に生息する”縄文杉”の樹齢は3000年以上と推定されており、その寿命の長さには驚きです。

※推定方法により2500年〜7200年と幅があります。

 樹木の成長には、”光合成の働き”が関係しています。(以下の記事参照)

 これは、光合成により””を生成することで、栄養分としているためです。

 それでは、樹木は光合成を続けている限り、成長し続けることができるのでしょうか。

 本記事では、木が成長できる限界と”水”との関係性についてご紹介していきます。

 最後まで、お付き合いいただけますと幸いです。

世界で一番高い木とは!?木が成長できる限界と”水”との関係性を紹介!

引用:O-DAN(オーダン)

 木は一体どこまで成長するのでしょうか。

 また、樹齢を重ねるにつれて、限りなく成長していくのでしょうか。

 しかしながら実際には、人間と同じように木が成長できる高さには限界があります

 これには、木が光合成に必要な”水”の存在と、”水”を吸い上げられる高さの限界が関係しています。

木が成長するためには”水”が必要!

引用:O-DAN(オーダン)

 木が成長するためには”水”は必要不可欠です。

 また正確には、成長に必要な”糖”を作るために”水”が必要となります。

 木の葉には「葉緑体」と呼ばれる”糖の生産工場”があります。

 ここでは、根から吸い上げた””と空気中の”二酸化炭素”から””が作られています。

 もう少し、詳しく解説していきたいと思います。

 水は、”H2O”という分子式で表されます。

 また、糖は炭水化物である”ブドウ糖(C6H12O6)”です。

 このブドウ糖へ変換される下準備として、水(H2O)は葉緑体の中で、”水素(H)“と”酸素(O)“に分解されます。

 しかしながら、水を分解するためには大きなエネルギーが必要となります。

 そのため、この分解エネルギーとして”太陽の光エネルギー”が用いられています。

 以上の理由から、光合成には太陽光が必要不可欠です。

 また糖の生成以外にも、その運搬に”水”が必要となります。

 成長に必要な”窒素(N)”や”リン(P)”などの栄養素は、土の中に眠っています。

 ”根”によって、その栄養素は吸い上げられていますが、その際、栄養素は水に溶けている必要があります

 やはりここでも、木の成長には”水”は必要となります。

巨木はどのように”水”をテッペンまで運ぶのか?

引用:O-DAN(オーダン)

 それでは巨木の場合、どのように木の頂上まで”水”を運んでいるのでしょうか。

 たとえば、”水力発電のダム”を例に挙げてみます。

 水力発電のダムでは”水”を高所から低所に流し、その勢いで発電用の”ポンプ水車”を回し、発電を行います。

 このような揚水式のダムでは、電気の使用量が少ない夜間に、低所から”ポンプ”を用いて、高所まで水をくみ上げ、昼間の発電に備えているのです。

 また人間や動物は、”心臓”がポンプの役割を果たし、血液を体全体に運んでいます。

 たとえば動物の中で最も背の高いキリンは、人間の2倍近い血圧で血液を圧送しています。

 しかしながら、キリンの身長はせいぜい高くても”3m”あたりです。

 縄文杉を見ても、その高さは”20m”を超えてきます。

 それでは、”木”はどのようにして”水”を吸い上げているのでしょうか。

木は”水”をストローで吸い上げている!?

引用:O-DAN(オーダン)

 木の体内には「導管」呼ばれる、”ストロー”のような細い管があります。

 しかしながら、根から20mの高さまでゴクゴクと飲んでいる訳ではありません。

 その秘密は、”浸透圧”と”蒸散”です。

 ”水”はイオン濃度が低いところから高いところへ流れていきます。

 これが、”浸透圧”の効果であり、私たちの細胞でも行われている方法であります。

 またお医者さんが、高血圧の患者に対し「塩分を控えるように」と注意するのもこの理由からです。

 人は塩の成分である”ナトリウムイオン”を摂取すると血液中のイオン濃度が高くなります。

 そのため”血液の浸透圧”を一定に保つために、血液中の水分量が増加します。

 その結果、体内を循環する血液量が増え、血管の壁にかかる圧力が高くなり、血圧を上げてしまうと考えられています。

 これが”浸透圧の働き”です。

 しかし、木は”浸透圧”だけでは水を吸い上げることはできません。

 木は水を運ぶためにイオン濃度を上げる必要があり、導管内のイオン濃度を上げる方法として”蒸散”があります。

 木の葉の裏には、空気を出し入れするための”気孔”が数多くあります。

 ”蒸散”は、この気孔から木の体内の水分が”水蒸気”となって大気に放出される現象です。

 木の導管は気孔から根まで、ずっと繋がっており、一本の水柱になっています。

 そのため”蒸散”によって気孔から水が失われると、イオン濃度が上がり、次は”浸透圧”によって、根から水が引き上げられます。

 これが木が”水”を吸い上げる原理です。

 お花屋さんが「水の中で茎を切って下さい」と言うのも、水を吸い上げる導管が傷つき、空気が入ることによって、この”水を運ぶリレー”が途切れてしまうことを意味しています。

木が「水」を吸い上げられる限界の高さは?

引用:O-DAN(オーダン)

 しかしながら、この”浸透圧”と”蒸散”の力には限界があり、木が”水”を吸い上げられる限界が木の成長の限界であると言えます。

 研究では、”浸透圧”と”蒸散”の力で吸い上げられる水の高さは130m〜140mと計算されています。

 この高さが、木が成長できる理論上の限界値です。

 このように、キリンの圧送よりも非常に大きな力を発揮していることがわかります。

 現存する”世界で一番背の高い木”は、アメリカのカリフォルニア州に生息する”セコイアアメスギ”であり、その高さは”115m”です。

 これは、29階建てのビルに匹敵する高さであり、信じがたい高さを誇ります。

 また、この事実から一つの謎を解き明かすことができます。

 その謎は、日本最古の歴史書である「古事記」に記された一文です。

「淡路島を覆い尽くすほどのクスノキが存在していた」

 古事記には、世界の始まりから日本の成り立ちまでの逸話がドラマチックに描かれており、今日でも解明されていない謎が数多く記されています。(以下の記事参照)

 しかしながら前述の研究結果によると、これは事実ではない空想や虚構で作られた話であるのでしょう。

 以上が「世界で一番高い木とは!?木が成長できる限界と”水”との関係性を紹介!」になります。最後まで読んで頂きありがとうございます。

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※アイキャッチ画像引用:O-DAN(オーダン)