キノコは樹木に寄生し、養分を取って生活しています。

 キノコが生えている樹木や土を見ると、土の中に腐った樹木が埋もれている場合があります。

 そのため、キノコは腐ったものから生えているような印象を受けます。

 反対に、樹木の必要と無くなった部分を食べ、腐らせて土に戻しているとも考えられます。

 こうして土に還った養分は、再び樹木が吸い上げて成長します。

 このように、キノコは自然のサイクルを形成し、森林環境を作る一員です。

 本記事では、キノコと樹木の関係を紹介します。また、マツタケや干しシイタケの値段がなぜ高いのかについても後述しております。

キノコと樹木の関係を紹介!

 菌類のキノコは、大きく分けて3つの菌に分類することができます。

  • 腐生菌:朽ち木や落ち葉などから生えるキノコ
     ホウライタケ、ハタケシメジ、コムラサキシメジ
  • 木材腐朽菌:枯れた樹木に寄生するキノコ
     シイタケ、ナラタケ、ヒラタケ
  • 菌根菌:生きている木から養分をもらっているキノコ
     マツタケ、本シメジ

 先ほど冒頭で紹介したキノコは、木材腐朽菌に該当してそうですね。

 木材腐朽菌は枯れた樹木に寄生しており、有名なシイタケがこれに該当します。

 菌根菌のマツタケや本シメジは、樹木が光合成で作った炭水化物を木の根から吸い上げます。

 その代わりに土壌中から吸収した養分を樹木に送り、まさに共生です。

 そのためマツタケや本シメジは、シイタケのように樹木の幹ではなく、樹木の周辺に伸びる根から生えています。

キノコの王様”マツタケ”はなぜ高いのか!?

 マツタケは、アカマツにのみ生える日本の代表的なキノコです。

 他のライバルとなる菌の少ない、痩せた土地に生えます。

 若いアカマツの根についたマツタケ菌は一度寄生すると、10〜20年はマツタケを出し続けると言われています。

 しかし、最近では松林を手入れする人が少なくなり、落ち葉が積もって土地が肥えてしまいました。

 その結果、他の菌が増えてしまい、収穫量が減っています。

 このため最近では国産のマツタケはめっぽう高く、中々お目にかかれませんよね。まさにキノコの王様です。

キノコの市場マーケットは大きい!?

 キノコは「特用林産物」です。

 特用林産物とは、木材を除く森林から生産されるものであり、「キノコ・果実・山菜・漆・木ろう・竹材・桐材・木炭」などがこれに該当します。

 特用林産物には、森林から生産されるもの全てが含まれています。

 例えば「わさび」も特用林産物に含まれています。

 この中で、キノコはなんと全体の生産額の90%を占めているそうです。

 2016年度の特用林産物の生産額は約2800億円で、このうちキノコは2400億円を占めています。(森林・林業白書)

 このことからも、キノコは地域の活性化に大きく貢献していると言えます。 

キノコの価格推移

引用:林野庁「特用林産基礎資料」

 グラフから読み取れるように、最近は全体的に少しずつキノコの価格が上昇しています。

 2015年に、干しシイタケが大きな伸びを見せていますが、これは福島第一原発事故により生産量が減ったことが原因だそうです。

 干しシイタケは主に中国や台湾、シンガポールに輸出されています。

 現在では干しシイタケの価格は、生シイタケの約5倍ほど高いです。

干しシイタケはなぜ高いのか!?

 干しシイタケはなぜ高いのでしょうか。

 もちろん乾燥させる手間が、まず考えられます。

 干しシイタケは、肉厚でカサが開ききっていないシイタケを用いています。

 7割ほど傘が開いたものが「どんこ(冬茹)」と呼ばれ、中国語での「ドング」が語源です。

 どんこは3時間程度でカサが開ききり、シイタケになってしまいます。

 また、シイタケの成長は天気や温度に左右され、気温の急な上昇や雨が降るとカサが一気に開いてしまいます。

 そのため、収穫のタイミングが難しいそうです。

 このように、「乾燥・肉厚・収穫」の要因が干しシイタケの値段を高くしていると言えます。

最後に -原木シイタケのブランド化の取り組み-

 原木に適している樹木は、クヌギやコナラなどのいわゆるドンクリがなる樹木です。

 クヌギやコナラは樹皮が厚く、内部に養分を蓄えやすいため、シイタケ菌が蔓延しやすいと言われています。

 クヌギについては「[まとめ] 雑木林の樹木の名前や見分け方を紹介!カブトムシやクワガタが集まる樹木と夜間に集まる理由とは!?」で紹介しています。

 コナラについては「ドングリの木・コナラの紅葉と魅力を紹介!薪や炭の材として生活に欠かせなかった雑木林を代表する木」で紹介しています。

 現在、石川県能登半島の先端に位置する奥能登地域は、県内の原木シイタケ生産量の約8割を占める産地ですが、過疎化や高齢化の影響により、その生産量が年々減少しているそうです。

 このような中で、最高級品の「のとてまり」は、2017年の初競りで過去最高額の一箱6個入り17万円で購入されており、その知名度は向上しています。

 また、鳥取県では「鳥取茸王」というブランド名でシイタケを生産しており、近年は有名百貨店や老舗料亭への引き合いが多くなっているそうです。

 シイタケはそのまま焼いて醤油で食べるのも良し、お鍋に入れるのも良しです。様々な料理にも応用ができます。

 食べて美味しいシイタケが、今後も地域の活性化に貢献して欲しいですね。

 以上が「キノコと樹木の関係を紹介!マツタケや干しシイタケはなぜ高いのか!?」になります。最後まで読んで頂きありがとうございます。

Woodyニュース」はTwitterFacebookでも、自然や森林に関する様々なニュースを配信しています。ご興味がある方はフォローして頂けると幸いです。

 またこの記事を読んで、少しでも森林や林業について関心を持って頂けると幸いです。