近年の地球規模の気候変動問題の解決に向けて、2015年パリ協定が採決されました。

 パリ協定においては、今世紀後半のカーボンニュートラルの達成に取り組むこととされており、世界各国がカーボンニュートラルの目標を掲げています。

 カーボンニュートラルとは、二酸化炭素を始めとする温室効果ガスの「排出量」が森林などによる「吸収量」と均衡することを意味します。

 2020年10月、日本では2050年にカーボンニュートラルの実現を目指すことを宣言し、CO2削減の取り組みが進められています。

現時点での日本のCO2の排出量は!?

 日本の2020年のCO2の排出量は、11億5,000万トンでした。

 これは世界の排出量の5位にあたり、CO2削減対策が進められている日本でも、さらなる対策が求められています。

 そこで日本では、2050年カーボンニュートラルに向けたイメージとして、2030年度までの10年間で約4億トンのCO2を削減することを目指すとこととしています。

 この具体的な削減目標の提示により、現在日本ではJークレジット制度の普及がより加速化しています。

J-クレジット制度について

引用:J-クレジット制度

 J-クレジット制度とは、森林管理などによるCO2の排出削減・吸収量をクレジットとして認証する制度で、2013年度からスタートしました。

 J-クレジット制度により、資金循環を促すことで、環境と経済の両立を目指すこととしています。

 そのためJ-クレジット制度では、削減・吸収されたCO2量が計算され、から認証されることでCO2売買することができる制度になります。

 実際にJ-クレジット制度を活用された事例を以下に紹介します。

 道の駅「にちなん日野川の郷」は、運営から生じるCO2を日南町有林J-クレジットを利用してカーボン・オフセットする全国初のCO2排出量ゼロの道の駅です。

 また、すべての商品に1品1円のクレジットを付与した寄付型オフセット商品を販売し、消費者(お客様)が町の森林保全活動に貢献できる仕組みにしています。

 その他のJ-クレジット活用事例は、以下の公式ページ(https://japancredit.go.jp/case_search/)で紹介されています。

森林のCO2吸収量の計算方法について

 では、森林のCO2吸収量は、どのように計算するのでしょうか。

 まずは、間伐や植林、主伐→植林によるCO2吸収量の計算方法について紹介します。

 面積×年間幹材積成長量(/ha)×拡大係数×(1+地下部率)×容積密度×炭素含有率×CO2換算係数 

 この計算により、CO2の吸収量がトンベースで算出されます。

 また、これに伐採された原木により、生産された製材用材および合板用材の利用による炭素固定量が加わります。

用材出荷量×加工歩留まり×木材の密度×炭素含有率×90年残存率×CO2換算係数

 これらの合計量がCO2のトータル吸収量として計上されます。

 また、これらの計算の妥当性を実証するためには、モニタリングが必要になります

  • 樹種・林齢別の面積
  • 森林の地位(ある土壌での成長しやすさ)
  • 製材用材および合板用材の出荷量

 これら全てが確認され、国によって認証されたCO2吸収量のみがJ-クレジット制度によって売買されています。

 

最後に – 森林が果たす役割とは!?

引用:林野庁 森林×SDGs

 現在、森林の価値は脱炭素にとどまらず、広範囲な社会・経済・環境の課題の解決に貢献する役割となっています。

 そのため、森林だけではなくその木材の利用も含め、それらに由来するクレジットは、社会やSDGsの観点から評価される必要があります。

 このことからも、現在のJ-クレジット制度は森林に対する新たな考え方の始まりであり、

 古くから受け継いできた森林に対して、新しく価値を再定義する時代に突入したといえます。

 以上が「カーボンニュートラルと森林が果たす役割とは!? J-クレジット制度について」の説明になります。最後まで読んで頂きありがとうございます。

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