パリ協定により、日本は2030年度の温室効果ガスの削減目標を2013年度比の26%減とし、この削減目標のうち、約2,780万トン(2.0%)を森林吸収量で確保しなければなりません。

パリ協定における二酸化炭素の排出削減目標と伐採木材製品(HWP)とは!?

 この目標を実現するためには、年平均52万ヘクタール(1ヘクタール当たり100mX100m )の間伐の実施が必要となります(愛知県の面積に相当)。さらに、この実施に加えて、地域材利用による伐採木材製品(HWP)の蓄積量を増加させる必要があり、2030年までに、これらの森林吸収量の目標達成に向けて、継続的な実施や検討を続けていくことが、今後の課題となっています。(参考:「地球温暖化対策「パリ協定」と「森林」が担う役割とは!?」で記述しております。)

伐採木材製品(HWP)とは!?

引用:O-DAN(オーダン)

 「HWP」は「Harvested Wood Products」の略称であり、製品に固定化された炭素の固定量を評価し、炭素含蓄の変化量を温室効果ガス(二酸化炭素)の吸収量としてカウントすることを表しています。

 つまり、通常木を伐採後、それをバイオマス発電や薪として利用し燃焼させることで、大気中に二酸化炭素を放出はずだったものを、製品化することで、二酸化炭素を製品にプール(含蓄)しているという考え方になります。

 その二酸化炭素の排出量分は、製品にプールすることで、削減分として計上してもよいというルールに「パリ協定」から変更されました。また、HWP製品の焼却と埋め立てにかかる二酸化炭素の排出は計上しなくてもよいとされています。

 これは、2020年以降の新枠組みであり、「京都議定書第約束期間」では考慮されていないルールでした。以前は、伐採しても運び出さずに放置する「切り捨て間伐」は林内に炭素として残っているので、炭素固定量としてカウントされていましたが、木材が森林から利用目的として、搬出された時点で大気中に排出されたものとしてカウントされていました。

 これは間伐材の利用促進と逆行する取り決めであり、この点が「京都議定書」と「パリ協定」の大きな違いであり、日本の「木材利用の推進を通じて、木材の持つ地球温暖化の緩和利益を最大化すべき」という考えが反映された結果となります。

引用:林野庁

 HWPの期待される効果として「炭素貯蔵」「省エネルギー(材料代替効果)」「化石燃料代替」が促進化が考えられており、各国でも重要な森林吸収源対策として注目されています。

パリ協定の今後の展開

引用:O-DAN(オーダン)

 この取り組みは始まったばかりです。以下「UNFCC」での記載を抜粋。

Paris agreements is also considered of other issues relating to HWP.  These issues, including socio-economic and environmental implications and several potential impacts arising from the application of the approaches for accounting of emissions and removals relating to HWP. We have to consider these other issues relating to HWP in the context of the consideration of broader issues relating to land use, land-use change and forestry, at future sessions.

 今回の「パリ協定」のルール改定により、製品に含有する二酸化炭素の排出量を算出し計上する必要が生まれました。つまり今後、紙や割り箸などの日用品や建材や家具としての木材の利用、さらにはバイオマス発電における、木材の利用にまで、様々な二酸化炭素の量を算出する文化へと変貌することを意味しています。

 このルール改定は、新たな二酸化炭素を売り買いするビジネスへと結びつき、さらには土地利用を二酸化炭素の排出面も考慮した上で、どのように利用すれば環境配慮や利益を最大化できるのかという点を考えなければならない時代が訪れることを意味しています。

 「パリ協定」は地球規模の大きな環境問題の対策制度でありますが、文化面やビジネス面でも、近い将来、私たちの身近にまで影響してくる制度改定であると考えられます。

最後に -私たちに出来ること-

引用:O-DAN(オーダン)

 二酸化炭素の排出は国の経済の発展の代償であり、避けては通れない道です。今回の「パリ協定」の大きな期待は、アメリカはもちろん、中国までが、この地球の環境を守る取り組みに加入したことにあります。

 しかしこれは反面、未だ発展途上の国では、今後の経済発展において、二酸化炭素の排出を意識しなければならず、大きな足枷となります。

 「パリ協定」には、まだまだ改善すべき問題点があり、発展途上であります。私たちに出来ることは、この協定を認知し日頃の生活で少しでも二酸化炭素の排出について意識することであると思っております。

 以上が「パリ協定における二酸化炭素の排出削減目標と伐採木材製品(HWP)とは!?」の解説になります。

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※アイキャッチ画像引用:O-DAN(オーダン)