前記事に引き続き、日本の森林・林業について紹介していきます。(以下参照)

 オーストリアの首都ウィーンは芸術の都として非常に有名です。

 またオーストリアは世界有数の森林大国であり、美しい自然の風景を楽しむことができます。

 そのため、意外に知られていないと思いますが林業が盛んな国でもあります。

 本記事では、芸術と自然の国”オーストリア”の魅力と、日本が森林・林業で学ぶ点について紹介していきます。

芸術と自然の国”オーストリア”の魅力を紹介!

 まずは、芸術と自然の国”オーストリア”の魅力を紹介します。

 オーストリアはヨーロッパ中央に位置しており、周囲を8つの国々に囲まれています。

  • 北側:ドイツ, チェコ
  • 東側:ハンガリー, スロバキア
  • 南側:イタリア, スロベニア
  • 西側:リヒテンシュタイン, スイス

 そのため様々な国の文化の影響を受け、特に芸術文化が発展し、分野は音楽や建築、彫刻、絵画、文学など多岐に渡ります。

 首都のウィーンの音楽を代表とする宮廷文化が世界的に有名ですよね。

 ハプスブルク家が絶大な権力を握った時代には、モーツァルト、ハイドン、ベートーヴェンらが活躍しました。

 また、ウィーンにある国立オペラ座は世界三大オペラ座の一つです。

 オーストリア中北部に位置するザルツブルクは、モーツァルトが生まれ育った町として有名で、1920年から世界的なザルツブルク音楽祭が毎年開催され、2020年には創立100周年を迎えます。

 オーストリアの国土面積は約840万haで、北海道とほぼ同じくらいの面積です。

  • 国土面積:約840万ha (世界112位)
  • 人口:約880万人 (世界96位)
  • 首都:ウィーン (人口約190万人)
  • 言語:ドイツ語

 この小さな国にはバロック時代以降の歴史的な建築物が多く残っており、世界遺産が合計9件も登録されています。

 以下に有名な世界遺産を2件紹介します。

 ハプスブルク家の夏の離宮として知られるシェーンブルン宮殿は、マリーアントワネットが幼少期を過ごした場所といわれ、ウィーン旧市街とともに世界遺産に登録されています。

 また首都ウィーンにはドナウ川が流れ、周囲は森林に囲まれた自然豊かな都市でもあります。

 オーストリアは西部の3000m級のアルプスからウィーンを囲む「ウィーンの森」や、東部ハンガリーへと広がる草原地帯まで、標高も変化に富んでいます。

 さらにオーストリアでは、日本と同じく四季折々の美しい自然の風景を楽しむことができます。

 以下、オーストリア政府観光局のサイトでオーストリアの芸術や自然について紹介されています。

日本がオーストラリアの森林・林業で学ぶ点とは!?

 オーストリアは、急峻な地形や細かく区切られた所有林状況が日本と似ていますが、日本と比べ林業が盛んで、伐採後の植林が盛んに行われており、健全な森林サイクルが形成されています。

 オーストリアの森林面積は387万haで、森林率は46.9%を誇ります。

 オーストリアの森林含蓄量は12億㎥で、下表で日本の森林面積や森林率、森林含蓄量を比較すると、日本はオーストリアに森林量の面では上回っていることがわかります。

※比較としてフィンランドのデータも記載しています。フィンランドは、OECD(経済協力開発機構)の加盟国の中で、世界1位の森林率を誇る森林大国です。

引用:林野庁「平成30年度版 森林・林業白書」

 
 しかし、ha当たりの森林含蓄量に関しては、オーストリアは群を抜いています。

 以下に参考として、日本の代表的な「スギ・ヒノキ・カラマツ」の2017年の素材価格を紹介します。(農林水産省:木材価格)

  • スギ:13,100 (円/㎥)
  • ヒノキ:18,100 (円/㎥)
  • カラマツ:11,900 (円/㎥)

 ha当たりの森林含蓄量が多いということは、それだけ収穫できる材積が多く、林業会社へ依頼した際に得られる収益が多くなります。

※林業会社に依頼して主伐(皆伐)や間伐を行い、丸太を生産することになります。そのため実際得られる収益は、伐採や運搬などにかかる作業コストの差額分が依頼者に還元されます。またこれら作業コストは、補助金によって補うことが可能です。
 各林作業で受けられる補助金については、以下の記事で紹介しています。

健全な森林サイクルが形成されている

 そのためオーストリアは、森林含蓄量が日本の約25% (12億㎥)であるのにも関わらず、日本の木材供給量の約60%に相当する1,755万㎥の丸太を生産しており、日本と比べると非常に高い数値になっています。

 また、急峻な地形や細かく区切られた所有林状況が日本と似ていますが、日本より所有林の集約化が進んでいます。

 そのため、まとまった主伐(皆伐)や間伐が可能であり、作業コストを抑えることができます。

林野庁「平成30年度版 森林・林業白書」

 しかしその代わりにオーストリアでは、伐採後の植林や農地への植林が活発に行われています。(日本では農地への植林は禁止されている)

※日本では、主伐(皆伐)を依頼した森林所有者が補助金を用いて、植林を林業会社に依頼します。

 そのため、高い木材供給量にも関わらず、「含蓄変化量」は400万㎥増加しています。

※含蓄変化量は2010年と2015年の5年間の森林含蓄量の変化から算出されています。

 日本の7,000万㎥の森林含蓄量の増加と比較すると、オーストリアでは森林資源が有効活用されており、健全な森林サイクルが形成されていると言えます。

※健全な森林サイクルについては、以下の記事で紹介しております。

最後に -森林大国である日本が解決すべき問題とは-

 以上が「芸術と自然の国”オーストリア”の魅力を紹介!日本が森林・林業で学ぶ点とは!?」になります。

 本記事では、芸術と自然の国”オーストリア”の魅力と、日本が森林・林業で学ぶ点について紹介しました。

 次回は、オーストリアの林業の成功例をもとに、森林大国である日本が今後解決しなければならない課題について紹介します。(以下、次回記事)

※本記事は「森林・林業白書 (林野庁)」を参照しております。

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 またこの記事を読んで、少しでも森林や林業について関心を持って頂けると幸いです。