本記事では、山林不動産に関するお悩み相談例を紹介します。

 以前に山林不動産関する「相続・贈与・売買」の手順や方法、留意点などをまとめてご紹介しております。

 まだ読まれていない方は以下の記事をご参考の上、本記事を読んで頂くと、さらに理解が進みます。

 

相続後に名義変更しないと生じる問題とは!?

「相続後に山林の名義を変更しないとどうなりますか?」

「時間が経つほどに問題が大きく複雑になります」

 遺言がなく、遺産分割協議も行なっていない場合は、山林を相続全員で共有している状態になります。(法定相続)

 その状態で相続人が亡くなると、さらにその相続人(配偶者や子)が新たに権利者となり関係者がどんどん増えていきます。

 たとえ相続人が1人で管理している山林であっても、相続人すべての同意がなければ売却・贈与等の登記(名義変更)はできません、

 また将来、他の相続人の同意なく主伐(皆伐)で収入を得たとすると、見ず知らずの遠縁の相続権利者から突然電話がかかってきて、、、。という状況も考えられます。

山林の場所や境界線が不明な場合

「山林の場所も境界線も不明でも、名義変更できますか?」

「できます」

 現在の登記情報が把握できる山林なら、現状不明でも名義変更(所有権を移す)ことはできます。

 相続なら特に問題になりませんが、他人への譲渡となると以後のトラブルを防ぐために、その旨を契約書に記載する必要があります。

 贈与・売買の「契約書」記載例については、以下の記事で紹介しています。

 上記の記載例を参考に個人で作成することもできますが、記載漏れがあってはトラブルの原因になる恐れもあるので、その場合は行政書士や司法書士の方に依頼することをお薦めします。

山林の「権利書」が見つからない

「山林の権利書を探しています。それらしい証書が見つからないのですが、大丈夫でしょうか」

「権利書は一般的に、登記が済んだ際に法務局から発行された発行済証を指します。これがなくても名義変更が可能です」

 実は「権利書(証)」という名称の証書は、法令上はありません。

 登記(名義変更)申請を行なった際の「登記申請書」や「売渡証書」などに、法務局が登記済の班を押して返してくれる書類を法令上「登記済証」と言います。

 権利書と呼ばれる証書の正体は、山林を取得した際の「登記済証」を指します。

 登記(名義変更)を司法書士に依頼すると、登記済証に独自の表紙を付けて渡してくれることが多いと思いますので、「登記済証書」や「登記済権利証」といった題名になっているかもしれません。

 もう一度探してみて下さい。

 なお、「登記済証書」自体に担保機能はありません。

 よくテレビドラマなので、権利書を盗み出す場面が描かれていますが、登記済証だけで抵当権を設定したり、勝手に名義を変えたりすることはできないのです。

 同様に、他人の登記済証を預かっていても、担保としては無意味です。

 よくあるシチュエーションとしては、昔に知人に貸したお金の担保として「権利書」を預かっているパターンですが、この権利書だけでは権利は動かせません。

売買契約での瑕疵担保責任とは

「売買契約では瑕疵担保責任という言葉を聞きますが」

「瑕疵担保契約を負わない契約も可能です」

 瑕疵(かし)とは、欠陥や欠点のことです。

 売り手が”欠陥”に気付かず、売買したものが「通常期待される品質」を持っていなかった場合、売り手が責任を負います。

 これが瑕疵担保契約の考え方です。

 しかし、山林の場合は本人が気づかないところで虫害が発生していて、立木の価値が期待ほどではなかったという場合があります。

 こういったケースが考えられるので”特約条項”に”買った後に一切文句を言わない”というような文言を入れておくことでトラブルを防ぐことができます。

 このように、契約書に双方の話し合いによって承諾した内容を特約条項に記載しましょう。

契約書や特約条項に関しては「山林(不動産)を売却する手順と方法を紹介!売却する際に気をつけるべきポイントとは!?」で紹介しています。

相続・譲与・売買でその他に必要な手続きとは

「その他に必要な手続きはありますか?」

「森林法に基づく届出のほか、一団面積1ha以上の売買の場合は国土利用計画法に基づく届出が必要です」

 売却や売買、相続により、新たに森林所有者となった方は、面接の大小に関わらず、森林法に基づく届出が必要です。(市町村役場へ)

 この手続き自体は、登記(名義変更)に至る書類が揃っていれば簡単にできます。

 必要書類に関しては「山林(不動産)を売却する手順と方法を紹介!売却する際に気をつけるべきポイントとは!?」で紹介しています。

 一方、一団面積が1ha以上の山林の売買では、国土利用計画法に基づく届出が必要になります。(受付は市町村役場へ)

 この届出を行なった場合は、森林法に基づく届出は不要とされています。

自治体や法人などへ山を寄付する場合

「自治体や法人などに山を寄付することはできますか?」

「現状では難しいと思われます。」

 山林の贈与先が望んでいる場合は可能ですが、現状ではまず難しいです。

 最近の経済誌に山林の相続放棄について記載した内容がありましたが、いらない部分の不動産だけを相続放棄することはできません。

 法律上は、相続放棄後の山林にも管理責任が生じます。

 そのため、2019年度から「森林経営管理制度」がスタートしています。

 この制度は、森林所有者の代わりに、市町村が森林管理を行う制度です。

「森林経営管理制度」については次回に紹介します。

 山林場所や境界線が不明な場合でも、名義変更は可能ですので、譲与・売買するか、市町村に預けるかを選択していく必要があるのかもしれません。

 以上が「山林不動産に関するお悩み相談例を紹介!相続後に名義変更しないと生じる問題とは!?」になります。

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※アイキャッチ画像引用:Taloonさん (GANREF)