都心には、数多くの種類の街路樹が植えられています。

 街路樹は都市景観を良くし都市環境を保全する役割があり、これによりビルに囲まれた都心でも自然を感じることが出来ます。

 このように街路樹は、都心での時間に追われた生活の中で、唯一時間を忘れて一息つく”休息”と”癒し”を与えてくれます。

 そのため街路樹は、自然に触れる機会の少ない都心の中では、最も身近にある自然の一つではないでしょうか。

 こうして私たちに癒しを与えてくれる街路樹ですが、実はほとんどが落葉樹であることはご存知でしょうか。

 樹木には”落葉樹”と”常緑樹”が存在しています。

 ”落葉樹”は冬に葉を落とし、”常緑樹”は一年を通して緑の葉を茂らせています

 そのため、落葉樹が植えられている都心では、冬季は物寂しい雰囲気になります

 また葉を落とすため、路上の定期的な清掃が必要になります

 本記事では、このような落葉樹が植えられている理由と、街路樹の種類や役割についてご紹介していきます。

 最後までお付き合い頂けると幸いです。

日本で初めて植えられた街路樹の種類と役割とは!?

 街路樹は、主に”歩道”や”車道沿い”に植えられています。

 そのような街路樹の役割を以下に列挙していきましょう。

  • 街並みの景観を良くする。
  • 強風を防ぐ。
  • 車の排気ガスや騒音を緩和させる。
  • 夏の強い日差しを遮断する。
  • 火事の延焼を防ぐ。
  • 建物が道路上へ倒壊するのを防ぐ。
  • 運転の視線誘導に役立つ。

 このように街路樹は都市の景観を良くし、都市環境を保全・向上を図るだけではなく、防風防塵防煙防暑防火の役割を担っています。

 しかし、日本で初めて植えられた街路樹は、もともと別の役割で植えられていました。

 樹木の名前梅の花見の文化など、古来の日本はもともと”中国文化”に影響を受けており、街路樹を植える政策もその一つです。(以下の記事参照)

 中国で初めて植えられた街路樹は、唐の六代皇帝である玄宗 (在位:712年〜756年)の勅令により、長安と洛陽を結ぶ道に果樹が植えられました。

 果樹は夏に繁る葉が暑さを和らげ、秋に実る果実が飢えを癒す役割があります。

 そして、この時代に唐へ渡り(733年)、10年間中国文化を勉強した普照法師は、この果樹を植える政策を日本に持ち帰り、奈良時代の759年に日本で初めて”七道駅路”に街路樹が植えられました

 ”七道駅路”(東海道・東山道・北陸道・山陰道・山陽道・南海道・西海道)が採用された理由として、当時、各地方から京都へ年貢や税金を運ぶ農民が、この道を利用し往来していたためであるとされています。

 このように往来する人々の苦労を少しでも和らげたい飢えや渇きを癒したいという目的で”果樹”が採用されました。

現代の街路樹が本格的に植えられ始めたのはいつ!?

 このように地方では、七道駅路などの”街道”や”寺社の参道”には街路樹が植えられていました。

 日本で市街路に、本格的に街路樹が導入されるようになったのは明治時代以降になります。

 1874年(明治7年)に、東京で初めて近代的街路樹として銀座通りに”クロマツ”、”サクラ”が植えられ、外来種として東京で初めて、内堀通りに”ニセアカシア”が植えられました。(以下の記事参照)

 ちなみに銀座と言えば、”ヤナギ”というイメージがありますが、銀座通りのクロマツ、サクラから植え替えられたのは、1890年(明治13年)であるとされています。

 そして現在では、2020年の東京パラリンピックに合わせ、銀座通りの街路樹が”イチイ”から”カツラ”に植え替えられています。(以下の記事参照)

なぜ街路樹に落葉樹が植えられているのか!?

 樹木には”落葉樹”と”常緑樹”が存在しています。

 落葉樹は冬に葉を落とす特徴があり、常緑樹は一年を通して緑の葉を茂らせています。

※常緑樹の特徴については以下の記事で紹介しています。

 このように一見すると、”常緑樹”は一年中緑があり、街路樹として適しているような気がしますが、比べて”落葉樹”を植える以下のメリットも存在します。

  • 夏の日差しを遮り”木陰”を作ることができる。
  • 冬には日差しが届き”ぬくもり”を与えてくれる。
  • 紅葉などの四季の移り変わりを感じることができる。

※紅葉し、葉を落とすメカニズムについては以下の記事で紹介しています。

 また木陰は、夏の日差しを遮るだけではなく、樹木には”蒸散”と呼ばれる余分な水分を葉の裏にある”気孔”から蒸発させる働きがあります。

 これにより、木陰に入ると”涼しい”と感じることができます。(以下の記事参照)

 このように落葉樹には、街路樹として適した特性を持っているため、落葉樹が採用されているのでしょう。

街路樹の種類と役割を紹介!

 日本で最も植えられている上位3位の街路樹の”種類”と”役割”を紹介していきます。

1位:イチョウ

 ”イチョウ”は他の木と比べ、葉の色が混ざることなくほぼ全ての葉が黄色に染まり、その扇子形の可愛らしい葉が人気です。

 またイチョウは、排気ガスや硬い地面という厳しい環境でも強く長生きするため、街路樹として最も多く植えられています。

 その他にも、春に開花し、夏に緑に茂り、秋には紅葉するため、季節の移ろいを楽しませてくれるのも魅力の一つです。(以下の記事参照)

2位:サクラ

 ”サクラ”は日本の”国花”であり、春の風物詩として最も有名です。

 近年では、海外でも「日本桜」として認知されるようになり、花見の文化とセットで来日する観光客が非常に多いです

 このようにサクラには集客力があり、地域の活性化にも繋がることから街路樹として多く採用されています。(以下の記事参照)

3位:ケヤキ

 ”ケヤキ”は成長が早く育つと大きな木になり木陰を作ります

 また名前の由来の通り、個体によって紅葉の色が「赤・橙・黄」と3種類存在し、色鮮やかな美しい景観を作り出します

 これらの理由から、街路樹として多く植えられています。(以下の記事参照)

最後に – 街路樹が植えられる意味とは

 このように、それぞれの街路樹が植えれるには意味があります。

 また、時代により植えられる街路樹も代わり街路樹の種類によって街並みは様変わりしていきます

 例えば、現在の東京では”ハナミズキ”が最も多く植えられている街路樹となり、イチョウよりも数多く植えられています。(以下の記事参照)

 また上述の通り、2020年の東京パラリンピックに向け、銀座通りは”カツラ”への植え替えがなされています。

 このように時代の流れと共に、街路樹はその街”特有の景観”を作り出し、”街のシンボルツリー”としての役割を果たしています。

 ぜひ本記事をご参考に、一度街の街路樹を観察して頂けると幸いです。

 以上が「街路樹の種類と役割を紹介!なぜ落葉樹が植えられているのか!?」になります。

 最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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